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比較対象企業(ベンチマーク)の選定と結論(経済分析) | 押方移転価格

移転価格税制 文書化 事実 機能 リスク

※この記事を読む前に移転価格文書の記載項目をご確認下さい。

経済分析(ベンチマーク分析)は移転価格文書の最終項目

このパートにおいて、親子間取引から生じた利益が、比較対象となる類似企業の利益と大きな差がないかどうかを検証し、移転価格上の問題があるかどうかの結論を出します。

親子間取引の利益率は「切り出し損益」(または子会社全体の決算書)を用いますので、ここでは比較対象企業の選定について説明します。

企業データベースに絞り込みをかける

そもそもの話になりますが、移転価格税制とは海外子会社との取引価格を恣意的にコントロールすることにより、利益が国外に逃げ、税収が少なくなることを防止するためのものです。そのため海外子会社との取引を、独立した第三者と同様の条件で行うことが必要になります。

いわゆる「独立企業間価格」で海外子会社と取引しなさいということですが、個々の製品の取引価格を1つ1つ検証することは難しいので、それを1つのまとまり(取引単位)と考え、取引単位の利益水準が妥当がどうかというアプローチで検証することが一般的です。

その「妥当かどうか」を検証するための根拠資料として、公表された財務数値を集めた企業データベースが用いられます。

まず企業データベースに一定の絞り込み(スクリーニング)をかけて、比較対象となる企業の利益率の幅(レンジ)を算出します。次にそのレンジと、親子間取引を取引単位に切り出した損益計算書(切り出し損益)の利益率を比較し、レンジ内に収まっていれば移転価格上の問題はないと説明するのです。

取引の結果である利益から逆算して、取引価格に問題がなかったかどうかを間接的に証明しているということもできます。

スクリーニングは神経質にならないこと

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スクリーニングの手順ですが、まず大元のデータベースとして、ビューロー・ヴァン・ダイク社の企業データベースを使うことが一般的です。世界50か国以上の税務当局自身も使っている世界最大のデータベースです。国や業種を絞ったパッケージ商品も発売されていますので、自社にとって適切なものを利用するといいでしょう。

データベースを入手したら、スクリーニングを行います。スクリーニングの方法に厳密なルールはありませんが、一例を示しますと、

<定性的基準>
・国や地域・・タイ、インドネシアなど
・業種(産業分類コード)・・タイヤ、チューブ製造業、鋳造品製造業など
・上場企業に限定する
・著しく機能の異なる製品を扱っている企業は除く

<定量的基準>
・別の企業に株式の50%以上を保有されていない独立性のある企業
・3年連続赤字企業は除く
・売上高が10倍以上または10分の1以下の企業は除く

などを挙げることができます。

ポイントは厳密性を求め過ぎないことです。世の中に同じ企業はありません。産業分類コードは広めに取り、製品や商品の類似性に過度に固執しないようにしましょう。

利益率レンジを特定するための情報も書く

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比較対象企業の選定だけでなく、利益率レンジを具体的に決定するための下記情報も記載します。

利益水準指標(PLI Profit Level Indicator)

移転価格計算に使用した比率(利益水準指標)についても記載します。取引単位営業利益法(TNMM)の場合は、
・売上高営業利益率
・総費用営業利益率
・ベリーレシオ(売上総利益÷販管費)

の3つから選ぶことになります。

複数年のデータの使用

比較対象企業を選定したとしても利益率は毎年変わります。より客観的なデータを使用するために3年間や5年間の平均利益率を使用する方が望ましいでしょう。その場合はその旨を記載して下さい。

比較対象企業の平均を使うのであって、子会社の利益率は単年度のデータを使用するということには注意して下さい。

利益率レンジ

複数の比較対象企業の利益率を用いて独立企業間価格レンジを決定することになりますが、レンジには2つの考え方があります。フルレンジと四分位レンジです。

フルレンジとは比較対象企業の利益率の最大値と最小値からなる幅のことで、四分位レンジとは上位25%と下位25%を切り捨てた真ん中の50%の幅のことです。

実務的には四分位レンジが使われることが多いです。その場合は四分位レンジを使用したことを記載するようにしましょう。

結論

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このようにして算出した独立企業間価格幅(レンジ)の中に、海外子会社の利益率が収まっていれば、「親子間取引は独立企業間価格で行われた」と結論づけることができます。

レンジ内に収まっていない場合は、取引価格の変更や価格調整金の収受を検討することになりますが、子会社支援と受け取られる可能性もありますので「決算期末で価格調整を行う」という旨の覚書を事前に取り交わしておくことが重要です。

とはいえ、やはりレンジ内に収まることが望ましいので、期中から子会社の利益率をチェックしておき、レンジから逸脱しそうな時は早めに手を打つようにしましょう。

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