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切り出し損益は取引単位で作成することが原則 | 押方移転価格会計事務所

移転価格税制 文書化 事実 機能 リスク

※この記事を読む前に「移転価格算定方法のわかりやすい選び方」をご確認下さい。

切り出し損益とは

移転価格税制は、親会社と海外子会社との取引を独立企業間価格で行うことを求める税制です。

1つ1つの棚卸資産価格を直接検証することは難しいことが多いので、その場合はグループ間取引を1つのまとまり(取引単位)と考えて、利益水準の妥当性を検証することになります。

ですが公式の損益計算書はグループ外取引も含んだ合計数字で作成されていますので、グループ間取引からどれだけの利益が得ているのかを切り出す作業が必要になります。

その切り出した結果の損益計算書を「切り出し損益(切り出しPL)」といいます。管理会計における部門別損益や、セグメント別損益と同じようなものです。

切り出し損益を作成しないことの問題点

切り出し損益を作成しない場合、不適切な分析結果になることも考えられます。

例えば海外子会社が2つの事業を行っており、1つは親会社との取引がある事業で、もう1つは子会社の独自事業だとします。

この場合、親子間取引だけを切り出せば独立企業間価格レンジに収まっているが、もうひとつの事業を含めて子会社全体でみるとレンジを上回ることもあり得ます。

子会社が親会社と関係ないビジネスで利益を上げているのであれば、それは親子間取引を通じて所得移転が生じているのでありませんので、その部分は除外して移転価格分析を行うことが必要です。

ただ実際のビジネスはそう単純ではありませんので、切り出し損益をどのように作成するか(=取引単位をどう定めるか)は難しい議論になることもあります。

原則として営業損益まで算出

切り出し損益は営業損益まで算出することが原則です。

売上総利益までは販売システム等から引っ張ってこれることが多いですが、経費については配賦計算が必要です。

売上高の比率で一括配賦する方法も考えられますし、費目ごとに配賦基準を変えても構いません。

配賦基準は売上高以外にも、人件費比率や作業時間比率、減価償却費比率なども考えられます。自社にとって適切なものを選び、根拠資料を残しておいて下さい。

既に部門別損益計算書などを作っているであれば、それを活用することも一案です。

会社全体の利益率を使うことも多い

中堅企業の海外子会社は比較的単純な事業を行っており、大半が親会社との取引ということも多いです。

そのような場合にあえて切り出し損益を作成するかは判断が必要です。(海外子会社に作業してもらうことが難しいという場合もあります。)

国税庁も「ローカルファイル例示集」において、海外子会社の仕入れの全額が親会社からのものである場合等は、海外子会社全体の損益計算書を使ってよいと言っています。

切り出し損益を作成するかどうかは、結局は会社判断ということになります。

次の記事に続く→「比較対象企業の選定と結論(経済分析)」

<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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