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税務署所管法人もそろそろローカルファイルの準備を | 押方移転価格会計事務所
- 2020.09.30
- 移転価格文書化

国税局管轄と税務署管轄
基本的には資本金が1億円未満の中小法人は税務署所管であり、1億円以上の法人は国税局の管轄です。
大きな企業には国税局の長く厳しい税務調査が入る一方、中小法人に対する税務署の調査は2~3日で終わるイメージがあります。
ですが、海外取引に関してはそうとも言い切れないようです。
移転価格課税や海外寄付金課税においては海外子会社との取引額が重要ですが、海外子会社との取引額は資本金の額と必ずしも連動しません。政策的に資本金を1億円未満にしている企業が多く存在するからです。
以前、税務署管轄企業からご相談があったのですが、海外子会社との取引を狙いうちで、国税局調査クラスの厳しい追徴課税が行われていました。
海外出張旅費実費、日割人件費、海外子会社在住のアドバイザーへの報酬の否認だけでなく、外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)の適用まで受けたとのことでした。
日本本社の経費で良さそうな部分も含まれていましたが、十分な抗弁ができなかったようです。
資本金が小さくても数十億円の売上規模があり、海外子会社が何社もありますので、税務署も最初から海外取引を重点的に調査するつもりだったのでしょう。
棚卸資産取引についての指摘も
また別の税務署所管企業からは、棚卸資産取引について指摘を受けたというご相談もありました。ローカルファイルを作成しているかどうかを尋ねられましたが、もちろん(?)作っていませんでした。
税務署管轄法人は海外取引に関するガードが相対的に甘いので、虚を突かれて大きなダメージを受けてしまった事例です。
顧問税理士もいるのですが、やはり国内税務が中心です。
かといって、お金を出してローカルファイルを作ってもらえば解決するとも限りません。作らないよりはマシでしょうが、税務署にきちっと説明できなければあまり意味はありません。
移転価格・海外寄付金対応は顧問税理士でも移転価格コンサルタントでもなく、自分達でやるしかないということです。
諸外国との競争上、法人税率自体を上げることは難しいので、ガードが甘そうな海外取引を重点的に調査して、法人税の税収を確保しようとする傾向は今後も続くでしょう。
税務署所管企業も、ローカルファイルの作成や海外寄付金対策を真剣に考えるべき時期にきていると思います。
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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