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利益分割法(PS法)とは | 押方移転価格会計事務所

利益分割法(PS法)とは、親会社と子会社の合算利益を一定の基準(分割要因、分割ファクター)で分割することによって独立企業間価格を算定する方法です。分割ファクターは、人件費、労働時間、販管費、研究開発費、減価償却費などが用いられます。

分割ファクターが少し動くだけで大きな所得移転が起きますので、分割ファクターの妥当性について合理的な説明ができるように準備しておくことが重要です。

利益分割法は分割する方法によって、

①寄与度利益分割法
②比較利益分割法
③残余利益分割法

の3種類に分類されます。

①寄与度利益分割法

親会社と子会社の営業利益の合計数値を、その営業利益獲得に貢献した程度(寄与度)の比率で配分する方法です。外部データを使用せず、企業内部のデータのみで独立企業間価格を算定できる唯一の方法ですが、寄与度(=分割ファクター)の取り方しだいで利益配分額が大きく動くという問題点を抱えています。そのため金融機関におけるグローバルトレーディングのように高度に統合された活動でない場合は、最適な計算方法として選定できない可能性があります。(寄与度利益分割法が適切な場合はこちらから

②比較利益分割法

比較対象となる独立第三者間取引を見つけてきて、その取引における両者の利益配分割合を参考に、親子会社の営業利益の合計を分割する方法です。そのような取引を見つけることは非常に困難ですので、実務上において用いられることはほぼありません。

③残余利益分割法

親会社と子会社の双方に独自の寄与(=重要な無形資産)が認められる場合に適用される方法です。まず両社の合算利益から基本的利益(独自の機能を果たさない非関連者取引から得られる利益)をそれぞれに分配し、余った利益(残余利益)をそれぞれの無形資産形成に要したコスト等の分割ファクターで配分する方法です。

基本的な活動による利益は、一般的には外部データベースから抽出します。残余利益の分割ファクターとしては、例えば親会社がメーカーで子会社が販社という場合、親会社の研究開発費用と子会社の販売ノウハウ構築費用の比率で分割するなどが考えられます。一定の合理性を持った独立企業間価格が算定されますので、実務上用いられることもあります。(残余利益分割法に準ずる方法はこちらから

<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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