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期末間際の値引きや価格調整金は寄附金リスク大 | 押方移転価格会計事務所

移転価格 値引き 期末

期末が近づいてくると海外子会社の業績見通しがはっきりしてきます。このままだと海外子会社が赤字になると判明する場合もあるでしょう。

このような時、事前の覚書もなく期初までさかのぼって単価を調整し、その分を売上値引きとして還元したり、「為替調整金」などの名目で海外子会社に送金すると、その部分は海外子会社への寄附と認定される可能性が高いです。

「そんな露骨なやり方をする会社はないだろう」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。

海外子会社の赤字を避けるため(あるいは日本本社の所得を減らすため)に、期末間際に多額の支援を行った事例を実際に何度か目にしています。

海外子会社の赤字は「万病の元」

確かに海外子会社の赤字は大きな問題です。

海外子会社サイドの税務当局から移転価格上の問題を疑われるだけでなく、親会社の株主や銀行への説明も難しくなります。

上場企業であれば会計監査において、子会社株式の評価減や子会社向け債権への引当計上、子会社保有の固定資産の減損にまで話が広がる可能性があります。

そして会計監査は、税務ではなく会計の数字(財務諸表)を元に行われます。

海外子会社の財務諸表が親会社の支援を受けた結果であったとしても、それについては考慮されずに財務諸表の数字だけが重視されるため、無理を承知で子会社支援を行う企業も出てくるのです。

期末に慌てても遅い

海外子会社の決算をきれいにしたい気持ちは理解できますが、期末間際に場当たり的に価格調整を行うのであれば、正直に自己否認をしておいた方が無難です。

「期中の取引価格は暫定であり、一定の計算式に従って期末に値増し・値引きを毎期行っている」という契約があれば子会社支援目的ではないという主張もあり得ますが、そうでない場合は、グループ全体の利益を考えた上での追加コストと考える以外にないと思います。

期末が近づいてから慌てるのではなく、事前に目標となる利益率レンジと価格調整の方法を定めておき、海外子会社の利益率を日常的にモニタリングしておくことが重要です。

<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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