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追徴課税リスクは日本本社が多めに負担しよう | 押方移転価格会計事務所
- 2024.03.12
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移転価格税制や海外寄付金課税は最終的には実態判断となりますので課税リスクはゼロにはなりません。
国と国の税金の取り合いでもありますので、日本と海外子会者双方の税務当局から指摘される可能性があります。
税務調査の厳しい国かどうか、指摘された場合に「どちらが金額的にマシか」という現実的な判断が必要ですが、私は基本的には日本本社サイドが多めに追徴課税リスクを負担すべきと考えています。
例えば海外子会社が赤字続きで納税していないことに不満をもった現地の当局から移転価格課税を受けた場合、「海外子会社の売上全体の〇%×〇年+加算税+延滞税」となってしまう怖れがありますので、日本サイドで多少の子会社支援を認定されたとしても子会社を黒字化しておいた方が、グループトータルで考えれば「マシ」かもしれません。
人材の問題・価格決定権の問題
また税務当局と交渉を行う人材も日本本社の方が充実しているはずです。
現地で完結する会計や税務処理については子会社のスタッフや現地の税務アドバイザーが適任と思いますが、移転価格関係の交渉は日本本社との取引価格が妥当かどうかという話ですので、価格決定権を持たない海外子会社が担当するのは限界があると思います。
また交渉の余地が全くない税務当局もあるようで、「追徴金を払わないなら逮捕するぞ」と言われた例も聞いています。
日本の税務当局は話は一通り聞いてくれますので、この点からもなるべく日本サイドで交渉した方がいいでしょう。
リスクに耐えうる能力を
また日本本社の方がビジネスが多岐にわたりますので、移転価格関係以外の指摘項目が見つかることも多いでしょう。指摘事項の候補が6~7個あって、移転価格・寄付金関係はその1つに過ぎないという状況です。
税務調査の最終段階で向こうの偉い人とこちらの偉い人が話し合いの場をもって、「この3つは修正しますが、残りは次回からの改善ということでいかがでしょうか」 「・・う~む。わかりました。」と、あっさり終わることもあり得ます。
調査官も忙しいので、ある程度の成果が出ていればさっさと次の会社に行きたいというのが本音です。
諸々考えてみると、やはり移転価格関係のリスクは本社が多めに負う方がいいでしょう。
しかしこれは、リスクに耐えうるだけの移転価格関係の知識や実務対応ノウハウが日本本社に求められるという意味でもあります。
移転価格関係については、どの子会社で問題が起きても対応できるよう本社が継続して学習することが大事だと思います。
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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