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移転価格文書のテンプレート(ひな形)第一主義に一言 | 押方移転価格会計事務所

移転価格文書 テンプレート ひな形 適用対象

移転価格文書(ローカルファイル)は、海外子会社との取引価格を独立企業間価格で行っていることを説明するための書類です。

記載項目はこちらの記事に記載していますが、実際に文書化を行うとなると「テンプレート」や「フォーマット」が欲しくなるのではないでしょうか。

真っ白な紙からスタートするよりはテンプレートを使った方が効率的ですので、テンプレートを使うこと自体は否定しませんが、その前に移転価格税制の基本的考え方を理解することが重要です。

移転価格計算方法を一通り理解することもせず、国税庁の「移転価格ガイドブック」のサンプルにあてはめるように取引単位営業利益法を採用することはおススメできません。

「なぜ取引単位営業利益法を採用したのか」という問いに答えることができなければ、事業環境が変化した時に対応できないからです。

これは例えるなら、連結会計の基本的考え方を理解しないまま連結パッケージを導入するようなものです。

なぜ「借方:利益剰余金 貸方:棚卸資産」という仕訳を切るのかという理由がわからないまま、数字だけを更新するというようなことになってしまいます。

移転価格対応は全社的活動

「移転価格対策に難しい能力は不要」にも書きましたが、移転価格税制は考え方自体は非常にシンプルです。

理論的・技術的な面よりも、経理部門だけでは完結しないので関連部署を巻き込んでいく必要があるという面に注意した方がいいと思います。

海外子会社との取引価格を変更したり、価格調整金の受け払いを行うといったことはグループ全体を巻き込む活動です。

経理部門だけ「テンプレートにあてはめて、パパっと作る」というやり方では根本的な問題解決にはなりません。

またローカルファイルは記載項目が絶対的に決まっているものでもありません。項目を形式的に埋めれればいいのではなく、海外子会社と独立企業間価格で取引していると実質的に説明できているのかどうかが重要です。

テンプレートを使う前に、移転価格税制の基礎をしっかり理解しましょう。

ローカルファイルを作成するだけでは移転価格問題は解決しない

またローカルファイルは単に作成すればいいというものでもありません。ローカルファイルの必要性を認識した企業は、コンサルタントにローカルファイルの作成を依頼することが多いのですが、ローカルファイルを単に作成するだけでは移転価格税制に関する問題の根本解決とはなりません。

ローカルファイルの代行作成には下記3つのデメリットが存在するためです。

デメリット① ノウハウの蓄積が不十分になる

ローカルファイルの作成を外注すると文書作成過程にブラックボックスが生じます。

完成したローカルファイル(移転価格分析報告書)についての説明を受けただけでは理論的背景や実務の細かい部分についての理解が不十分となる可能性が高いです。

税務当局にローカルファイルの内容を説明するのは企業自身なのですから、採用されなかった独立企業間価格算定方法などを含め、しっかりとローカルファイルの中身を理解しておくことが重要です。

デメリット② 年度更新のたびに多額のコストがかかる

ローカルファイルは毎期更新が必要な書類です。ローカルファイルの中身についての理解が不十分な場合、年度更新のたびに外部コンサルタントに依頼せざるを得なくなり、結果的にコスト増となります。

「〇年前に一度ローカルファイル(移転価格文書)を作ったのですが、予算の都合で、その後は放置されていまして・・」というご相談を受けることもあります。

ローカルファイルは1年分だけ作ってもあまり意味がありません。年度更新のことも考えた上で文書化を行いましょう。

デメリット③ 日常対応ができない

ローカルファイルの作成は移転価格対応の一部に過ぎません。

下記のような細々とした日常業務については、外部のコンサルタントがその都度対応することが難しいため、社内に移転価格税制に関するノウハウを蓄積しておくことが重要です。

    <日常的な移転価格対応の例>
  • 新しく始まる海外子会社との取引価格の設定
  • 商流変更が起きた場合の移転価格リスクの有無の検証
  • 利益率レンジからの逸脱が起きそうな場合の対応
  • 来期の予算・経営計画に移転価格上のリスクがないか検証
  • 親子ローン実行時の通貨及び金利の決定(海外寄付金対策)
  • 海外出張旅費が本社負担か子会社負担かを判断(海外寄付金対策)

移転価格税制に自社で対応できるようになろう

ローカルファイルの作成を外部コンサルタントに依頼するだけでは、移転価格税制に対する問題の根本解決にはならないことがおわかりいただけたと思います。

ローカルファイルの作成を外注するのではなく、移転価格税制及び海外寄付金に対応できる社内体制を整備することが重要です。

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この記事は国際税務の一分野である移転価格税制専門のコンサルタントが書いています。
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<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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