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有償性(対価性)のある経営指導料の寄附金認定リスク | 押方移転価格会計事務所

経営指導料 移転価格

海外子会社から経営指導料を受け取っている会社は多いと思います。経営指導料のやり取りも親子間取引のひとつ(グループ内役務提供)ですので、移転価格リスクや寄附金リスクを考えておく必要があります。

有償性(対価性)があるか

移転価格事務運営要領3-10に次のような定めがあります。

「法人が国外関連者に対し、経営・財務・業務・事務管理上の活動を行う場合において、当該活動が役務の提供に該当するかどうかは、当該活動が当該国外関連者にとって経済的又は商業的価値を有するものかどうかにより判断する。」

関連者に対して経済的・商業的価値がある活動を行った場合は、グループ内役務提供(IGS)に該当するため、対価のやり取りが必要になるということです。

これは経営指導料を受け取る側と支払う側にとって次のような意味があります。

受け取る側に対しては、「商業的価値のある経営指導を行ったのであれば対価を受け取りなさい。受け取らない場合は、その分を寄付したと認定する。」という意味を持ち、支払う側に対しては、「商業的価値のある経営指導を受けていないのに対価を支払ったのであれば、損金算入は認めない。」という意味を持ちます。

エビデンスの整備が重要

経営指導は親子間で行っている目にみえないサービスですので、恣意性が疑われやすいポイントです。そのため経済的・商業的価値を有するサービスを提供しているということを、契約書や報告書などのエビデンスで残しておくことが重要です。

対価の額ですが、利益率があまりに低いのも不自然ですし、第三者にも同様のサービスを行っている場合は、第三者価格との差が大きいことも不自然です。絶対的に正しい価格はありませんので、「このような考え方で価格を決めた」ということを可能な限りの根拠を用意して説明することになります。

子会社側の損金算入についても考慮が必要

海外子会社から経営指導料を受け取ることにより、日本本社側の寄附金リスクは低くなりますが、海外子会社側で損金にできるかどうかも確認が必要です。子会社側の税務当局が親会社への経営指導料の損金算入を否認してくる可能性があるからです。

国と国との税金の取り合いですので、海外子会社と連絡を取り合って契約書の文言を吟味するなどの努力を行う他にありません。

いずれにせよ経営指導料は恣意性を疑われやすい項目ですので、一度は寄附金リスクについて包括的に検証することをお勧めします。

<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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