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駐在員事務所、海外支店、海外子会社の税務上の取り扱い | 押方移転価格会計事務所

国際税務 駐在員事務所 支店 子会社

海外に進出する形態には次の3つがあります。

・駐在員事務所
・在外支店
・現地法人

これらの違いについて、税務上の観点から簡単に解説したいと思います。

駐在員事務所

市場調査等を目的とした進出形態です。支店や法人に比べて開設手続きが簡単ですので、まずは駐在員事務所を開設し、情報が集まってきたら支店や現地法人を設立するという順序を踏む会社も多いです。

情報収集や事務連絡を行うだけの拠点ですので、現地企業と取引契約を結ぶといった営業活動を行うことは禁止されています。営業活動を行っていると認定されると、実質的には支店や現地法人であるとして、現地国で法人税を納めなければならなくなります。

このような法人税を納める主体となる支店や法人のことを、PE(Permanent Establishment 恒久的施設)といいます。「PE無ければ課税なし」という大原則があり、駐在員事務所は通常はPEに該当しないので法人税の課税主体ではありませんが、上述したとおり、税務調査においてPE認定を受けると法人税の納付義務が発生します。

中国などのアジア諸国では、駐在員事務所に対するPE認定を積極的に行ってくる可能性がありますので、注意が必要です。

海外支店

「○○株式会社 ニューヨーク支店」「△△株式会社 ジャカルタ支店」といった形で、日本の法人が海外に支店を作るケースです。駐在員事務所とは異なり、営業活動を行うことができます。

そしてその営業活動により利益が出た場合は、その国で法人税を納めることになります。海外支店が獲得した利益は日本においても法人税の課税対象となりますので、この部分に関しては二重課税になってしまいます。

そこで確定申告において、外国税額控除という手続きを行うことにより二重課税を解消しにいきますが、外国税額控除には一定の限度額がありますので、二重課税が解消されないこともあります。

海外支店で赤字が出た場合、日本側の黒字と相殺(通算)することが可能です。これは後述の現地法人とは異なる点ですので、支店形態で進出した場合のメリットといえるでしょう。

現地法人

日本法人とは別の人格を持った現地法人を設立する形態です。日本法人が50%以上の出資を行えば「海外子会社」となります。別法人ですので赤字が出た場合に日本法人との通算はできませんし、黒字が出た場合は現地の法人税法に従って法人税を納付することになります。

法人でなければ輸入ライセンス等の許認可が取れないこともありますし、現地企業と合弁出資で設立する場合は、この形態で進出することが必要です。

また海外子会社と貿易を行う場合や海外子会社に出張支援を行う場合などは、移転価格税制に従って独立企業間価格で取引を行うことが求められます。

海外進出は慎重に

どのような進出形態を取るかはケースバイケースですが、ひとつ注意ポイントを挙げるとすれば、「進出するのは簡単だが、継続は難しい、撤退も難しい」ということです。海外支店・海外子会社の設立自体は事務手続きを行えばいいのですから簡単です。ですが、撤退する時のことまで考えて進出しているケースは多くないように思います。

海外子会社の業績不振に苦しんでいる会社は多いです。特に大手企業が進出したので、それについていく形で進出したというケースが厳しい結果になっているようにみえます。

日本では大手数社、中堅中小数十社と取引がある商品でも、現地ではその大手企業との取引しかないのですから厳しいのは当然です。大手企業からの発注量に売上のほとんどが依存することになるからです。現地で新規開拓するための準備が不十分なのです。

海外子会社を清算するケースも増えてきていますが、撤退は非常に手間がかかります。税務調査などの各種手続きがあり、数年かかることも珍しくありません。海外に進出すること自体は素晴らしいですが、その後の「継続・撤退」のことまで入念に考えた上で決断して欲しいと思います。

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この記事は国際税務の一分野である移転価格税制専門のコンサルタントが書いています。
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<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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