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現地に役員がいない海外子会社の税務リスク | 押方移転価格会計事務所

シンガポールなど租税負担割合(≒法人税率)が20%未満の国にある海外子会社は、外国子会社合算税制における「管理支配基準」を充足しなければ獲得した所得が日本本社に合算されます。

管理支配基準とは、海外子会社が事業の管理運営を本店所在地国で自ら行っているかどうかを判断するものです。

ではその海外子会社に従業員がまったくおらず、業務委託契約のみで事業を行なっている場合は管理支配基準を充たすのでしょうか。

業務の一部を委託することは普通のことですし、従業員を直接雇用しなければならないという決まりもありません。

業務の委託先が関係会社であったとしても、経済的合理性があれば、従業員がいないことをもってただちに管理支配基準を充たさないことにはなりません。

現地で働く役員は必要

しかし本店所在国に役員がいないのは問題です。

そのような企業は事業の管理運営を「本店所在地国で自ら」行っているとは言い難く、日本本社の支店や営業所のような存在だからです。

専任でなくて構いませんが、名義役員ではない実質的な経営者が現地で業務に従事し、それに対する役員報酬が支払われている必要があります。

つまり現地で働いている役員が1名以上存在し、従業員はいなくとも業務委託を活用するなどの方法でビジネスを回している場合は、管理支配基準を充たしている可能性があることになります。

一方、従業員が何人いたとしても現地には名義役員しかおらず、実質的な経営を行っている役員は日本にいる場合、それは本店所在地国で事業の管理運営支配を行っているとはいえないため管理支配基準を充たさない可能性が高いといえます。

今はWEBを使って大体の指示ができますので、業種によっては現地に役員を置かなくても海外子会社の実質的経営はできるかもしれません。

しかしそれを認めてしまうと、「日本からWEBを使って経営しています。でも売上は海外子会社で計上し、納税も現地で行います」といって所得を低税率国に集約させる租税回避ができてしまいます。

低税率国を使った「節税」はそんなに簡単ではないということですね。

関連記事:「タックスヘイブン対策税制(CFC税制)における実体基準とは」

<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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