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移転価格税制関連の罰則(ペナルティー) | 押方移転価格会計事務所

移転価格税制 罰則 ペナルティー

移転価格税制は、法人税法の特別法である租税特別措置法第66条の4を根拠条文とする税制です。税法も法律ですので、守らなかった時には罰則を受けることになります。

この記事では、移転価格税制関連の罰則(ペナルティー)について、少し広い視点からまとめてみようと思います。

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文書化義務違反

国別報告書・マスターファイル

連結総収入が1000億円以上の企業は、事業年度終了日の翌日から1年以内に国別報告書とマスターファイルの提出する義務があります。提出期限を守らなかった場合は30万円以下の罰金となります。

ローカルファイル

連結総収入が1000億円未満の企業であっても、国外関連者(海外子会社)と取引を行っている企業は、国外関連者との取引を独立企業間価格で行っていることを証明する書類(ローカルファイル)を作成する義務があります。

海外子会社との年間取引額(売上と仕入の合計)が50億円以上の場合は、確定申告期限までに作成することが必要です。50億円未満の場合、作成期限はありませんが、税務調査時に提出を求められた場合は60日以内に提出する必要があります。

ローカルファイルを期限内に提出できなかった場合、税務当局が独自に独立企業間価格を推定して課税する推定課税の適用を受けることを免れることができません。推定課税はペナルティーの一種です。

推定課税を受けた場合、他のケースの修正申告と同様に延滞税も発生します。海外子会社側で推定課税を受けた場は延滞税の利率が高い場合がありますので、思わぬ追加負担となることも考えられます。

コンプライアンス違反

移転価格税制も法律ですので、順守していない場合は税務コンプライアンスが問われます。

上場企業の場合、「○○株式会社は東京国税局の税務調査において、海外子会社との取引に関して○億円の申告漏れを指摘された」という企業イメージを悪化させる報道が行われることもあり得ます。

移転価格税制への対応が不十分であるということは、財務報告に係る内部統制に不備があるということもできます。

移転価格税制の適用を受けて追徴課税を払うことになれば税金勘定の金額が大きく動くからです。

海外子会社との取引額によっては、税引前利益が2億円の会社に2億円の移転価格課税が行われることも十分考えられます。会計監査においても、しっかりチェックしなければならない項目といえるでしょう。

未上場企業の場合はお金の面、上場企業の場合はお金とコンプライアンスの両面が課題になることが多いと思います。

税務当局は国際課税強化、監査法人は監査強化の流れですので、計画的に対応を進めていくことが重要です。

ローカルファイルを作成するだけでは移転価格問題は解決しない

ローカルファイルの必要性を認識した企業は、コンサルタントにローカルファイルの作成を依頼することになるのですが、ローカルファイルを単に作成するだけでは移転価格税制に関する問題の根本解決とはなりません。

ローカルファイルの代行作成には下記3つのデメリットが存在するためです。

デメリット① ノウハウの蓄積が不十分になる

ローカルファイルの作成を外注すると文書作成過程にブラックボックスが生じます。

完成したローカルファイル(移転価格分析報告書)についての説明を受けただけでは理論的背景や実務の細かい部分についての理解が不十分となる可能性が高いです。

税務当局にローカルファイルの内容を説明するのは企業自身なのですから、採用されなかった独立企業間価格算定方法などを含め、しっかりとローカルファイルの中身を理解しておくことが重要です。

デメリット② 年度更新のたびに多額のコストがかかる

ローカルファイルは毎期更新が必要な書類です。ローカルファイルの中身についての理解が不十分な場合、年度更新のたびに外部コンサルタントに依頼せざるを得なくなり、結果的にコスト増となります。

「〇年前に一度ローカルファイル(移転価格文書)を作ったのですが、予算の都合で、その後は放置されていまして・・」というご相談を受けることもあります。

ローカルファイルは1年分だけ作ってもあまり意味がありません。年度更新のことも考えた上で文書化を行いましょう。

デメリット③ 日常対応ができない

ローカルファイルの作成は移転価格対応の一部に過ぎません。

下記のような細々とした日常業務については、外部のコンサルタントがその都度対応することが難しいため、社内に移転価格税制に関するノウハウを蓄積しておくことが重要です。

    <日常的な移転価格対応の例>
  • 新しく始まる海外子会社との取引価格の設定
  • 商流変更が起きた場合の移転価格リスクの有無の検証
  • 利益率レンジからの逸脱が起きそうな場合の対応
  • 来期の予算・経営計画に移転価格上のリスクがないか検証
  • 親子ローン実行時の通貨及び金利の決定(海外寄付金対策)
  • 海外出張旅費が本社負担か子会社負担かを判断(海外寄付金対策)

移転価格税制に自社で対応できるようになろう

ローカルファイルの作成を外部コンサルタントに依頼するだけでは、移転価格税制に対する問題の根本解決にはならないことがおわかりいただけたと思います。

ローカルファイルの作成を外注するのではなく、移転価格税制及び海外寄付金に対応できる社内体制を整備することが重要です。

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この記事は国際税務の一分野である移転価格税制専門のコンサルタントが書いています。
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<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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