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長期出張により海外で所得税が発生した場合の外国税額控除 | 押方移転価格

海外出張 長期 所得税

海外子会社への長期出張により、現地でも所得税が発生した場合について説明します。
住民税を無視するなど単純化していますので、イメージとしてお考え下さい。

海外への長期出張

日本本社の従業員Aさんが、海外子会社に合計8ヶ月出張したとします。給料は月50万円(年間600万円)で、全て日本本社から支給されたとします。

海外子会社がある国とは租税条約が締結されており、現地での勤務期間が183日以下などの要件を満たしていれば、現地での所得税はかかりませんが(短期滞在者免税 通称183日ルール)、今回は滞在期間が183日を超えたため、183日ルールは適用できず、現地での所得400万円に対して15万円の現地所得税を(本人が)納めることになりました。

またAさんは日本の居住者ですので、600万円全額が所得税の課税対象となり、日本の所得税も18万円納めました。結果的として、400万円部分については日本と現地で二重課税となっています。

外国税額控除とは

このような二重課税は経済活動の妨げとなりますので、外国税額控除という制度が用意されています。確定申告の時に外国で払った税金を控除する仕組みで、個人にも法人にも適用があります。

この制度を使うことにより、外国で払った税金を全て控除できればいいのですが、実際は外国税額控除限度額という上限があり、全ては控除できず二重課税が解消されないままになることがあります。

外国税額控除限度額は、

所得税額 × (国外所得総額/所得総額)

で計算されます。

Aさんは日本の居住者であり、全世界所得課税となりますので、

国内源泉所得=200万円(4ヶ月間)
国外源泉所得=400万円(8ヶ月間)
全世界所得=600万円

ということで、上記計算式の「国外所得総額」は400万円、「所得総額」は600万円となります。

ですので外国税額控除限度額は

18万円 × 400万円/600万円=12万円となります。

この場合、外国所得税15万円の全額は控除できず、余った3万円は翌期以降3年間のどこかで控除するチャンスを待つことになります。

役員であった場合

Aさんが仮に役員であった場合は、結果が異なります。役員報酬は勤務地に関わらず日本の国内源泉所得となるという特別ルールがあるためです。

そのためAさんが役員であった場合は、

国内源泉所得=600万円
国外源泉所得=0円
全世界所得=600万円

となり外国税額控除限度額は、

18万円 × 0円/600万円 =0円となります。

つまり二重課税は全く解消されないことになります。

また上述の183日ルールは従業員に対してのみ適用されるため、役員の場合は183日以下の勤務であったとしても現地所得税がかかる場合があることにもご注意下さい。
役員報酬は何かと取り扱いが厳しいですが、こういうところにも影響があるということですね。

現地所得税を会社が負担する場合はグロスアップ計算が必要

今回は現地所得税を本人が負担したとしましたが、会社が現地所得税を負担する場合は、その分も本人の給料となり、グロスアップ計算が必要になります。

現地所得税が発生すると何かと手間です。出張日数をコントロールして、可能な限り183日ルールを適用するようにしましょう。

日数のカウント方法にも注意が必要

日数のカウント方法には2種類あります。

①暦年(1月1日~12月31日)で183日を超えていなければOK
→中国、韓国、タイ、ベトナムなど

②連続する12ヶ月間(初入国日が8月1日の場合、8月1日~翌年の7月31日)で183日を超えていなければOK
→香港、アメリカ、イギリスなど

これは各国との租税条約によって決まっていますので、長期出張に行く方がいる場合は、出張先国との租税条約を調べることが一番確実です。

関連記事:租税条約適用の届出により金利・配当にかかる源泉税が減免される

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