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タックスヘイブン税制改正後もトリガー税率は適用免除基準として事実上存続 | 押方移転価格会計事務所

トリガー税率 適用除外 タックスヘイブン

外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)の改正について取り上げます。

外国子会社合算税制とは、低税率国に事業実体のない子会社を作り、その会社に利益を集中させることによる税逃れを防止するための税制です。

この制度の適用対象となった場合、その海外子会社の所得を日本本社の所得に合算することになります。

これまでは租税負担割合(≒法人税率)が20%以上の国・地域にある海外子会社は合算対象外になるという「トリガー税率」という基準がありましたが、平成29年度の改正でトリガー税率は廃止されました。

タックスヘイブン対策税制改正の趣旨

改正前のルールでは、明らかなペーパーカンパニーであっても、租税負担割合が20%以上であれば合算の対象外になるという問題がありました。

トリガー税率を廃止することによりその点が手当され、ペーパーカンパニーであれば租税負担割合が20%以上であっても合算対象となることになりました。(30%以上の場合は合算不要)

以前は租税負担割合が20%未満かどうか、つまりタックスヘイブンにあるかどうかを重視していましたが、改正後は海外子会社に事業実体があるかどうかをより重視するようになったといえます。

その意味で「タックスヘイブン対策税制」という名前は少し不自然になりましたので、今後は「外国子会社合算税制」という言うようにしましょう。(あるいは「CFC税制(Controlled Foreign Company)」)

事務負担軽減目的で20%基準は存続

上記のようにトリガー税率は廃止されたのですが、租税負担割合が20%以上であり、かつ、ビジネスを行っている実態がある(=ペーパーカンパニーではない)場合は合算しなくていいという「適用免除基準」が設けられました。

これは事務負担軽減を目的に設けられたもので、実質的にトリガー税率の代わりとなるルールです。

20%という数値基準は残りましたが、以前とは意味合いが変わったことを知っておきましょう。

適用開始時期

外国子会社合算税制の改正は、海外子会社の平成30年4月1日以降開始事業年度から適用開始となります。

実際に合算するのは海外子会社の決算日から2ヶ月後が属する事業年度ですので、親子ともに3月決算の場合は、平成31年5月末が属する事業年度、つまり平成32年3月期決算からとなります。

今回の改正が中堅企業に与える影響は少ないと思いますが、「ペーパーカンパニーっぽい」海外子会社がある場合は、新制度をしっかり確認の上、合算の必要がないかどうかを検証することをお勧めします。

<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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