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自己否認をすると本当の業績がみえなくなる | 押方移転価格

経営者 移転価格

海外子会社の業績が悪い場合、日本本社は何とか子会社を助けようと画策することが多くなります。

そして本来は子会社が負担すべき費用を日本本社が負担してしまい、それが税務調査で見つかると、国外関連者への寄付と認定されることになります。

そのような指摘を受けると、翌年度からは自己否認という形で子会社支援分を自ら否認する企業もあります。

表面上は黒字でも実態は赤字

税務処理のみを考えた場合、それは正しい処理です。赤字だと監査法人から子会社株式の帳簿価額を減損しろといわれたり、対外的に説明がつかないという事情もあるでしょう。

ですが自己否認をするということは、海外子会社は本来負担すべき費用を負担していないということですので、表面上は黒字でも実態は赤字ということです。

この話の怖ろしいところは、表面上の数字で社内も社外も回るということです。つまり実力値として黒字だったという認識が社内外に浸透するということです。

これは時間が経てば経つほどそうなります。海外子会社の3年前の決算書が黒字であれば、親会社が自己否認した金額など忘れて「3年前は黒字だった」と皆が思うでしょう。

「鳥の目」と「虫の目」

状況は企業によってそれぞれですので、自己否認することが一概に悪いとは思いません。

海外子会社の社員も赤字企業のままでいるよりは、「自分たちの力で黒字になった。好業績になった」と思える方がモチベーションは上がるはずです。

これは税務リスクがどうということではなく、経営者的な大局観があるかどうかという話です。

移転価格対応には個別の項目を右か左かと判断する「虫の目」と、全体を俯瞰して総合判断をする「鳥の目」の両方が必要です。

移転価格対応を行う部署は、純粋な「経理」とは限らず、財務部、総務部、経営企画室、海外グループ担当など多様です。

財務や経営計画、予算に携わる人は全体を見渡す必要がありますので「鳥の目」が養われますが、純粋な「経理」の人は「虫の目」は得意な一方、「鳥の目」は苦手かもしれません。

細かい処理を正確に行う「虫の目」も必要ですが、移転価格・寄付金がからむところは、「鳥の目」による大局的な判断も混ぜ込む必要があると思います。

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