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無形資産取引と役務提供取引の違い | 押方移転価格

無形資産 役務提供 違い

海外子会社に支援を行う場合、役務の提供と無形資産の使用は別のものであることを理解しておくことが必要です。役務提供とは技術指導などのサービス提供そのもののことであり、無形資産の使用とは特許技術や製造図面などの価値あるノウハウを提供することです。

性質が異なるものですので、別の名目で対価を回収する必要があります。

・役務提供 ⇒サービス提供の対価を請求
・無形資産の使用⇒使用料(ロイヤルティ、ライセンス料)を請求

適切な対価を回収していない場合は、海外子会社に所得の移転が起きているとして移転価格税制の適用を受けるか、あるいは海外子会社に寄付を行っているとして寄付金課税の適用を受ける可能性があります。

両者の区別はあいまいな場合が多い

とはいえ、両者の区別は必ずしも明確ではありません。移転価格事務運営指針においても下記のように定め、税務調査時に注意すべき事項であるとされています。

<移転価格事務運営要領3-8>
役務提供について調査を行う場合には、次の点に留意する。
(1) 役務提供を行う際に無形資産を使用しているにもかかわらず、当該役務提供の対価の額に無形資産の使用に係る部分が含まれていない場合があること。
(注) 無形資産が役務提供を行う際に使用されているかどうかについて調査を行う場合には、役務の提供と無形資産の使用は概念的には別のものであることに留意し、役務の提供者が当該役務提供時にどのような無形資産を用いているか、当該役務提供が役務の提供を受ける法人の活動、機能等にどのような影響を与えているか等について検討を行う。
(2) 役務提供が有形資産又は無形資産の譲渡等に併せて行われており、当該役務提供に係る対価の額がこれらの資産の譲渡等の価格に含まれている場合があること。

海外子会社に出張支援を行った場合、技術指導を行った分については役務提供の対価、ノウハウを提供した分についてはロイヤルティをそれぞれ受け取る必要があります。

両者は別ものですので、「ロイヤルティ(の一部)として役務提供の対価を回収している」という主張をしたい場合は、ロイヤルティ契約書に「技術指導料を含む」という記載が必要になります。

技術移転が起きるかどうか

両者を明確に区別することは難しいですが、技術支援等により「子会社にノウハウが移転するかどうか」という切り口で考えるのもひとつの方法です。

例えば設備に不具合があって親会社から出張支援に行ったとします。壊れた機械を単に修理しただけであれば役務の提供であり、子会社が自ら不具合を解消できるようになるためのノウハウを提供した(技術移転が起きた)のであれば無形資産の使用と考えられます。

両者ともに独立企業間価格で取引することとされている

海外子会社(国外関連者)との役務提供取引、無形資産取引はともに移転価格税制の適用対象ですので、独立企業間原則(Arm’s Length Principle)が適用となります。つまり独立企業間価格(Arm’s Length Price)で取引をする必要があります。

役務提供取引については割と単純で、多くの場合はサービス提供にかかった総原価を請求すれば独立企業間価格で取引したと認められます。(詳しくは、グループ内役務提供(IGS)においては、総原価を請求すればいいケースが多いをご参照下さい。)

一方、無形資産取引の独立企業間価格(=ロイヤリティ料率)は非常に難しく、現在もOECDで議論が続けられています。現在のところは、類似取引のロイヤリティ料率を使用する方法と、ロイヤリティ支払い後の営業利益率を検証する方法が主流となっています。(詳しくは、無形資産とは 【移転価格用語解説】をご参照下さい。)

論理的に説明できるよう検討しておくことが重要

このように役務提供取引と無形資産取引は別のものであることを理解した上で、

・役務提供の対価の回収モレはないか
・ロイヤリティの回収モレはないか

について、事前に検証しておくことをお勧めします。

ライセンス契約書やサービスコントラクトの有無、その記載内容、対価の設定方法、子会社側での損金算入の可否、送金規制などをトータルで検証し、調査時に慌てずに済むよう備えておきましょう。

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