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子会社間取引の切り出し損益が調査で求められる理由 | 押方移転価格会計事務所

移転価格 子会社間

移転価格調査において、海外子会社間の取引の切り出しPLの提出を求められることがあります。

タイとシンガポールに海外子会社を持つ場合であれば、タイ子会社とシンガポール子会社との取引の切り出しPLという意味です。

切り出しPLを調べるということは子会社間取引の総額と両者の利益水準を知りたいということですが、日本サイドの税務調査とどのような関係があるのでしょうか。

子会社の営業利益率に歪みがないか

可能性として、所得移転の連鎖が起きていないかを調べようとしていることが挙げられます。

日本本社とタイ子会社との取引に係るローカルファイルにおいて、「タイ子会社の営業利益率は独立企業間価格(ALP)レンジ内である」と説明していても、その営業利益率がタイからシンガポールに所得移転が起きた後の数値であれば、その判断は適切とはいえないかもしれません。

この場合に子会社間取引の切り出し損益を作成すると、タイ子会社の利益率は赤字または非常に低水準で、シンガポール子会社の利益率は非常に高いという結果になっているでしょう。

タイ子会社とシンガポール子会社が独立企業間価格で取引していないのであれば、比較対象企業の平均営業利益率を使う等の方法により、タイ子会社の営業利益率を修正する必要が出てきます。

そして修正後の数字を使って日本本社とタイ子会社との取引を再検証すると、タイ子会社の営業利益率がALPレンジの上限を超えていることもあり得ます。

つまり日本→タイ→シンガポールと所得移転の連鎖が起きており、結局のところ日本サイドにおいて移転価格税制上の問題があるということになります。

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日本本社がグループ全体の取引をモニタリングすべき

関税や現地調達比率の向上など、いろいろな理由から海外子会社同士の取引が増えることはあるでしょう。

原材料等の個々の取引価格は当事者同士で決めるにしても、価格設定の大方針は日本本社が決めてグループ全体にお触れを出しておきたいです。

そしてグループ各社に移転価格リスクが生じていないかを定期的にモニタリングすることが必要です。

他の税目は各社に任せてもいいと思いますが、移転価格リスクについては価格決定権がある本社が主導的にコントロールするようにしましょう。

<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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