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有価証券報告書とローカルファイル、マスターファイルの関係性 | 押方移転価格会計事務所

有報 移転価格 ローカルファイル

上場企業に税務調査が入る場合、調査官は有価証券報告書を読み込んできます。

そのため税務担当者は有価証券報告書をよく読んでおき、ローカルファイルやマスターファイルとの関連性を把握しておくことが重要です。

あらためてよく見てみると、有価証券報告書は移転価格調査の下調べにうってつけの資料です。

まず「沿革」をみれば海外進出の歴史がわかりますので、例えば、「設立したばかりの海外子会社に立ち上げ支援(寄付行為)を行っていないか」といった見当をつけることができます。

「経営方針」や「事業のリスク」は、ローカルファイルにも同じような記載が必要な項目ですので、一度は両者を見比べておくべきでしょう。

「事業の内容」、「関係会社の状況」は概要把握に最適

また「事業の内容」「関係会社の状況」のパートは、ローカルファイル等との関連が特に深い部分です。

国外関連者(関係会社)が網羅的に記載されており、製造子会社なのか販売子会社なのか、どのような親子間取引を行っているのか、役員の兼務の有無といった情報に加え、グループ間取引の商流図まで記載されています。

その商流図と別表十七(四)を見比べつつ、地域別・事業別の売上と利益率を確認すれば、取引額が大きいグループ間取引や、利益率(所得配分)に偏りがありそうなグループ間取引の見当をつけることは難しくないと思います。

「研究開発活動」の記載にも注意が必要

さらに重要な部分は有価証券報告書の「研究開発活動」のパートです。

研究開発は無形資産の形成と密接に関わる部分ですので、日本本社においてロイヤリティの回収モレがないか、推定課税を行うことになった場合の適切な独立企業間価格算定方法は何かという論点に大きく影響します。

ローカルファイルやマスターファイルの無形資産の記載と有価証券報告書の内容に齟齬(そご)がないかは、非常に重要なチェックポイントです。

「セグメント情報」、「関係会社との取引高」も有用情報

地域別セグメント情報も移転価格上の問題が生じているかどうかの見当をつけるために有用な資料です。

「外部顧客への売上」と「セグメント間の内部売上」に分かれて記載されていますので、グループ内売上の大きさがわかりますし、どの地域(セグメント)が儲かっているかもわかります。

さらに個別財務諸表の注記情報には、関係会社との債権債務、年間取引額も記載されています。

これらの数字は監査法人のチェック済みですので、調査官は別表十七(四)の数字以上の信頼をおくはずです。

税務担当者は有価証券報告書にノータッチという会社もあると思いますが、少なくとも移転価格に関連する部分は毎年目を通すことをお勧めします。

<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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