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BEPS最終報告書の影響で、各国税務当局の情報交換が進む | 押方移転価格会計事務所

税務当局 情報交換

2015年10月にOECD(経済協力開発機構)の租税委員会から「BEPS最終報告書」というものが公表されました。BEPSとは、多国籍企業が各国の税制の抜け穴を使って不当に税額を少なくする行為のことで、「税源浸食と利益移転」と訳されています。

その最終報告書に移転価格文書化制度の見直しについて書かれたパートがあり、それを受けて各国政府が自国の移転価格文書化制度の見直しを始めています。

日本でも早速、2016年4月に文書化制度見直しについての発表があり、連結総収入1000億円以上の企業は、次の3つの文書を提出することが義務化されました。

・国別報告書(CbCレポート)
・事業概況報告事項(マスターファイル)
・ローカルファイル

このうちのローカルファイルが、海外子会社との取引を独立企業間価格で行っていることを説明する書類です。海外子会社と独立企業間価格で取引を行わなければならないのは連結売上1000億円未満の企業も同様ですので、ローカルファイルは中堅企業も整備しておかなければなりません。

それはいいとしまして、今回は国別報告書とマスターファイルの提出義務化による中堅企業への影響について書いてみようと思います。

なお、国別報告書は各国ごとの売上、利益、納税額等を報告するもので、マスターファイルはグループ全体の事業概要や財務状況を記載した文書です。

国別報告書、マスターファイルは各国当局間で情報共有される

日本の場合は連結売上1000億円の企業が対象となりましたが、これはBEPS最終報告における多国籍企業の基準である「7.5億ユーロ」を円換算したものです。中国の場合は7.5億ユーロを元換算した「55億元以上」の企業に同様の報告義務が課されることになりました。

つまり連結売上が概ね7.5億ユーロ以上の多国籍企業が、それぞれ「マスターファイル」「ローカルファイル」「国別報告書」を作成して、自国の税務当局に報告することになります。そして、このうち国別報告書は自動的に、マスターファイルは要請に応じて提出する形で当局間で情報が共有されることになります。

タックスヘイブンなどを使って不当に税逃れをしている多国籍企業の動きを捕捉するために、税務当局側もグローバルな協力関係を築こうとしているのです。

「先進国への利益移転が問題」

日本に比べ欧米の大企業は、各国の税制の穴を突くというか、積極的に税金を減らそうとする傾向がありますので、上記のような対抗措置を講じる必要はあると思います。

それはそれでいいのですが、日本の中堅企業にとっては、中国やインドネシアの税務当局がグローバルな情報を取得できるようになることに注意が必要です。

中国やインドネシアといった新興国は、先進国からタックスヘイブンへの利益移転だけではなく、(我々のような)新興国から先進国への利益移転が問題と主張しています。つまり日本の親会社が利益を不当に多く取っており、中国やインドネシア子会社の貢献が過少に評価されているという主張です。

立場が変われば主張も変わるということですが、当局間の情報交換が進めば、「現地法人の利益が過少」と指摘するための根拠が増えることは間違いありません。中国やインドネシア子会社の利益水準を注視するとともに、最低限の文書化を行っておくことが重要です。当事務所では現地の会計事務所と連携して、海外子会社側の移転価格文書の作成支援を行っています。

関連記事:海外子会社側の移転価格リスクが高いか低いか知っておこう

<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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