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海外子会社に無形資産があると主張する日 | 押方移転価格会計事務所

日本人の国民性なのか、英語圏の人達ほど他国とスムーズにコミュニケーションが取れないからなのかはわかりませんが、「日系企業は欧米企業に比べるとアグレッシブなタックスプランニングには消極的」と言われています。

しかし最近は、「税金もコスト」という考えが日系企業にも浸透してきている気がします。グループ全体の税金費用の最小化を目指すという意味ですが、営利企業としては自然な流れでしょう。

とはいえ個人事業レベルならいざ知らす、上場企業やそれに準じる企業が法の穴を突くような手段は取れませんので、グループ各社の所得をコントロールすることによる「節税」を考えることになります。

1億円の所得を法人税率30%の日本本社に帰属させるのか、20%のタイ子会社に帰属させるのかによってグループ全体の税金費用は1000万円も変わります。

日本本社に配当する時に少し法人税がかかりますが、それを加味しても、低税率国に所得を多く配分した方が企業にとっては有利です。

行き着く先は子会社の無形資産?

法人税率が低い海外子会社に多くの所得を残したとしても、日本本社側で移転価格課税や寄附金課税を受けてしまっては元も子もありません。

そのために海外寄附金対策や移転価格対策を行う訳ですが、最終的には海外子会社には重要な無形資産があると主張することになりそうです。

海外子会社の利益率が業界平均よりかなり高いのは海外子会社に重要な無形資産があるからであって、日本本社からの寄附も所得移転もないという主張です。

無形資産があるかどうかは、知的財産の法的所有権や資金面の貢献だけでなく、無形資産の開発、改良、維持、保護、活用というDEMPE機能を果たしており、かつ相応のリスクを負っているかどうかの総合判断になります。

取引を正確に描写した上で検討することになりますが、裁判官ではありませんので公正中立である必要はないでしょう。子会社への利益分配を増やしたいのであれば、子会社の無形資産形成への貢献を重点的に検証すればいいと思います。

子会社も設立から10年、20年と経っていれば日本本社ができないこともやっているはずです。それは無形資産の「開発」とはいえなくても、「維持」や「活用」とはいえるかもしれません。

例えばその国独自の規制をクリアしなければ扱えない商品で、そのノウハウはその子会社しかもっていないということもあるでしょう。あるいは商標(ブランド)の使い方が、その子会社だけは特別に秀逸だったりするかもしれません。

子会社に無形資産があると説明することによって、大きく税金費用が削減できるのであれば検討する価値はあると思います。

争う覚悟も必要

しかし、公正中立の立場でないのは調査官も同じです。日本本社側になるべく多くの所得が帰属するように考えるのが彼らの仕事なのです。

海外子会社の営業利益率が20%以上もある時に、「海外子会社に重要な無形資産があるから」という企業の主張を普通は受け入れません。

しかしそれでも自社の主張を通したいのであれば、不服審判や税務訴訟で争う覚悟が必要です。

その時大事なことは、自社の主張を立証するエビデンスを用意することです。観念的なことを説明するだけでは、不服審判所の審査官も裁判官も判断ができないからです。

子会社が行っている研究開発活動や営業活動が同業他社とどう違うのか、超過利益獲得にいかに貢献しているのかを立証するエビデンスが必要です。

都合のいい資料がなければ作りましょう。子会社の顧客にアンケートを行うなど、できることはたくさんあるはずです。国側がどう主張してくるかを想定した上で、それに対抗するエビデンスを用意しましょう。

争う姿勢も時には重要だと思います。

<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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