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海外取引における消費税の区分のまとめ | 押方移転価格会計事務所

海外取引 消費税

海外進出企業は日常的に海外取引を行っていますが、消費税の区分(課税対象なのかどうか)について迷う場合があると思いますので、よく出てくるパターンについて簡単にまとめてみました。

<目次>
・そもそも消費税の課税対象は?
・輸入の場合
・輸出の場合
・国内取引かどうかの判定(内外判定)
・国内か国外かはっきりしない場合は特別ルール
・海外取引の消費税については丁寧な確認を推奨します

そもそも消費税の課税対象は?

消費税は、事業者が国内において対価を得て行う課税資産の譲渡等(譲渡、貸付、役務提供)と保税地域から引き取られる外国貨物に対して課税されます。

前者が国内取引、後者が輸入取引です。

国内取引と輸入取引が課税対象ですので、三国間貿易など日本に商品が届くことなく海外で完結する取引は消費税の課税対象外(不課税)となります。

輸入の場合

上述の通り、事業者が行う輸入取引は消費税の課税対象となり、輸入消費税が課されることになります。(個人がプライベートで海外から持ち込む物は免税)

税率は国内取引と同様に10%です。(2020年時点)

消費税は通常は確定申告時に納付するものですが、輸入消費税(及び関税)は保税地域から貨物を引き取る時点で納付します。

輸入した商品を販売して代金を回収するまでの間の資金負担が生じますので、キャッシュフローについても注意が必要です。

輸出の場合

輸出は国内取引ですので課税対象ではあるのですが、最終消費者が国外の法人または個人であり国内で消費しない(消費税を納付できない)ということで免税という扱いになっています。

輸出免税や免税売上といわれているものですが、課税売上割合の計算では注意が必要です。

課税売上割合=課税売上/(課税売上+非課税売上)

この「課税売上」には免税売上も含まれます。「0%課税売上」と考えるとわかりやすいかもしれません。

輸出取引が免税であるため、輸出がメインのビジネスである場合は確定申告時に消費税の還付を受けることができる場合があります。

但し、消費税の還付は課税事業者のみが対象となります。

課税売上高が1000万円未満の場合は自動的に免税事業者になりますが、消費税還付の可能性がある場合は消費税課税事業者選択届出書を提出するようにしましょう。

国内取引かどうかの判定(内外判定)

消費税は国内取引が課税対象ですので、日々の取引が国内取引かどうかの判定をしなければなりません。

この判定は基本的には、商品・サービスの販売や貸し付けが日本国内で行われたのかどうかという基準で行われます。

ですので、海外支店が海外の会社に商品を販売した場合や、日本本社の社員が海外子会社に出張支援する場合は、役務提供が行われた場所が海外ですので国外取引として消費税の課税対象外となります。

海外子会社に技術指導や営業支援を行った場合、移転価格対応の一環として出張に要した実費(総原価)を基準に子会社に請求しますが、消費税区分は不課税売上ということです。

国内か国外かはっきりしない場合は特別ルール

基本ルールは上記ですが、性質上、国内なのか国外なのか判然としないものもあり、その場合は特別ルールが用意されています。

例えば、海外子会社に特許権や商標権等の使用許諾を与えた場合は、その特許権等が登録された機関の所在地で判定します。

日本の特許庁に登録された特許を海外子会社に使用させる場合は、国内取引と判定され、消費税の課税対象となるということです。(消費税の課税対象にはなりますが、輸出(類似)取引に該当するため免税)

また国内と海外にまたがる調査を依頼し、役務提供地が契約書等によって明確でない場合は、その役務提供者の事業所の所在地で判定することになっています。

海外取引の消費税については丁寧な確認を推奨します

以上は海外取引の消費税の基礎知識ですが、消費税の区分に迷う取引が頻繁に起きる訳ではないと思いますので、目新しい取引が発生した場合は、その都度、ていねいに調べることをおススメします。

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この記事は国際税務の一分野である移転価格税制専門のコンサルタントが書いています。
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<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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