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早わかり!移転価格税制対策(会社規模別) | 押方移転価格会計事務所

移転価格税制 規模 対策

会社の規模別に移転価格税制への対策をまとめてみました

移転価格税制への対応といっても、従業員数千人~1万人以上の大企業と数百人規模の中堅中小企業をひとくくりにするのは難しい面があります。
※こちらで移転価格税制の仕組や図解をわかりやすく解説しておりますので、ご覧ください。

そこで最近の税制改正と税務調査の動向を踏まえた上で、移転価格税制への対応を会社規模別にまとめてみました。

会社の規模別分類

①大企業(連結総収入1000億円以上)
②中堅企業A(特定の海外子会社との年間取引が50億円以上)
③中堅企業B(特定の海外子会社への年間取引が50億円未満)
④中小企業(海外子会社との年間取引が(目安として)年間1億円以下)

厳密な表現よりも理解のしやすさを優先して書いています。 イメージをつかむためご確認下さい。

①大企業(連結総収入1000億円以上)

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国別報告書とマスターファイルの提出義務化

連結総収入1000億円以上の企業には、経済開発協力機構(OECD)が議論を進めてきた「BEPSプロジェクト行動計画13」に従って、下記書類の提出が義務化されました。

国別報告書(CbCレポート)

親会社が自国の税務当局に対して、各国に存在するグループ企業の概要(売上や納税額など)を報告する書類。事業年度の終了日の翌日から1年以内に提出が必要。国別報告書は各国税務当局間で自動共有される。

マスターファイル(事業概況報告事項)

グループ全体の事業概況を概括的に記載した書類。国別報告書と同じく事業年度の終了日の翌日から1年以内に提出が必要。海外子会社の税務当局から要請があった場合は、海外子会社の税務当局にも提示する必要がある。

ローカルファイル

特定年度における特定の海外子会社との取引に移転価格上の問題がなかったかどうかを検証した書類。(上記2種類の書類とは異なり、調査官からの要請に応じて提出する)

②中堅企業A(特定の海外子会社との年間取引が50億円以上)

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ローカルファイルを確定申告期限までに作成することが義務化

特定の海外子会社との取引額(売上と仕入の合計)が年間50億円以上の企業には、ローカルファイルを確定申告期限までに作成することが義務化されました。この義務のことを「同時文書化義務」といいます。

③中堅企業B(特定の海外子会社との年間取引が50億円未満)

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調査官の求めに応じ60日以内にローカルファイルの提出が必要

海外子会社との年間取引額が50億円未満の場合は、同時文書化義務は免除されます。ですが税務調査時に調査官から求めがあった場合、60日以内の指定された日までにローカルファイルを提出できないと推定課税の適用を免れることができません。

大企業の移転価格対応が一通り完了し、移転価格調査の対象企業は小型化してきています。

年間取引額が50億円未満の企業がこれからの移転価格調査のメインと考えられますので、事前の文書化をお勧めします。(関連記事:「同時文書化義務免除でも「文書化」は必要」

④中小企業(海外子会社との取引が(目安として)年間1億円以下)

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移転価格対策よりも寄付金対策が優先

移転価格税制において、海外子会社との取引額に免税点はありません。ですが調査する側の費用対効果を考えると海外子会社との取引額が年間1億円以下の場合は、(棚卸資産取引についての)移転価格調査が入る可能性は低いといえるでしょう。

一方、海外子会社への出張旅費や、出向者給与の較差補てん金といった項目については、会社の規模にかかわらず寄付金として指摘される可能性があります。この規模の企業は場合は、海外子会社への寄付金対策を優先的に行いましょう。

まとめ

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大企業は移転価格税制への対策が進んでいますが、中堅中小企業は遅れている面があります。

海外子会社との取引が一定額以上あるのであれば、ローカルファイルの整備を検討し、寄付金項目についてもエビデンスをきっちり残すといった対策を行い、不測の追徴課税を防止しましょう。

海外でビジネスをする以上、会社規模に関わらず国際税務に関する知識は必要な時代です。国際税務に関する情報収集はしっかり続けていきましょう。

<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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