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新型コロナは特殊要因と判断すべき | 押方移転価格会計事務所

特殊要因分析 移転価格

移転価格分析の中に特殊要因調整というものがあります。

平たく言うと、

「海外子会社(あるいは日本本社)に「特殊な事情」があった。比較対象企業の利益水準と大きなかい離があるのは、その特殊事情のせいであって所得移転が起きている訳ではない」と説明するための分析です。

ローカルファイルにおいては、

「海外子会社が赤字なのは、

・稼働率が低かったから余計な固定費が出た
・為替レートの変動が激しかった
・大きな設備投資を行ったので減価償却費が増えた
・多額の在庫評価損を計上した

からであって、その影響を除けば四分位レンジ内に入っている。」というような使い方をします。

事実認定の世界ですので現地の税務当局が認めてくれればいいですが、普段は移転価格税制のことを何も考えておらず、決算が終わってからローカルファイルの作成を外注したような場合は、あからさまに幼稚な言い訳になってしまい、認めてくれないこともあります。

例えば、海外子会社の営業利益率が比較対象企業より高いのは、日本本社から生産移管したことによって人件費が下がったからだと主張しても、人件費水準が安いのは比較対象企業も同じですから所得移転が起きていないことの理由にはなりません。

このように特殊要因分析を行う際には比較対象企業が同様の影響を受けているかどうかも考える必要があります。

新型コロナは特殊要因となり得る

しかし今回の新型肺炎はまさに特殊要因だと思います。

「欧州子会社の生産ラインが止まった」「代替品を使わざるを得なくなった」などの理由によって欧州子会社の利益率が四分位レンジを下回ったとしてもそれは欧州から日本に所得が移転したのではありません。

あるいは中国子会社が消毒液やマスクを作っている会社で、2020年度の売上や利益率が大幅に上昇したとしても、それは新型肺炎の流行による特需であって、日本から中国に所得が移転したのではありません。

比較対象企業の利益率として2017年から2019年の3年間の平均値を使っているのであれば、四分位レンジは新型肺炎の影響を受けていない数値です。

ですので2020年度の子会社の利益率分析を行う際には、新型肺炎による影響を除外して比較すべきです。

当初の事業計画からのかい離を集計しておき、来年のローカルファイル作成時にその分を加味しましょう。

流行が長引けば移転価格がどうというレベルではなく、事業自体を継続できなくなるところも出てくるはずですので、早期終息を切に願います。

関連記事:取引価格変更にまで踏み込むことが重要

<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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