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国外移転所得の返還の際は税務署に届出を | 押方移転価格会計事務所

外貨建 長期金銭債権 届出

移転価格課税を受けた所得の返還は、原則、別取引として益金算入

売上の金額が過少、あるいは仕入の金額が過大であるとして移転価格税制の適用を受けた場合、その金額(国外移転所得金額)の返還を海外子会社から受けるかどうかを検討することになります。

数字を入れて言い直しますと、海外子会社への販売額が100万ドル×@110円(発生時レート)=1.1億円過少であると指摘を受けた場合、1.1億円を法人税申告書の別表上で所得加算して追徴税を納付することになりますが、その後でこの1.1億円を海外子会社から返還してもらうかどうかを検討することになります。

まずこの所得加算した1.1億円は、返還を受けるかどうかにかかわらず利益の社外流出となります。(租税特別措置法66の4(9)-1)役員賞与や寄附金の加算を行った場合と同じく「加算して終わり」ですので、翌期以降の取り崩し(=減算)はありません。
税効果会計でいうところの「永久差異」であり「一時差異」ではないといえばわかりやすいでしょうか。

届出書を提出することにより益金に算入しないことができる

100万ドル(1.1億円)は「加算して終わり」ですので、海外子会社から100万ドル(あるいはその一部)の返還を受けた場合は、原則として 新たな取引の発生として益金に算入することになります。

ですがこのことに対する救済措置だと思いますが、合理的な期間内に一定の事項を記載した 「国外移転所得金額の返還に関する届出書」を所轄国税局長(または税務署長)に提出した場合は、益金に算入しないことができるとされています。

また外貨建て取引の場合は、決済時の為替レートと発生時の為替レートの違いから為替差損益が発生しますが、これはその期の益金または損金に算入することが認められます。今回の例でいうと、100万ドルを回収した時の為替レートが100円だった場合に発生する1000万円の為替差損がその期の損金になるということです。

日本側の取り扱いはこのようになっていますが、海外子会社が返還した金額が海外子会社の損金として認められるかどうかは場合によります。両国の当局が合意する相互協議を経ていれば損金に算入されますが、そうでない場合は認められないこともあり得ます。

事前に移転価格文書を整備して独立企業間価格で取引を行うことが望ましいですが、移転価格課税を受けてしまった時のために、このようなことも知っておくといいと思います。

関連記事:「これだけは知っておこう!」移転価格の基礎講座(前編)

<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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