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外圧を上手く使って社内の利害調整を行おう | 押方移転価格会計事務所

移転価格税制や海外子会社への寄付金への対応が他の税目と決定的に違うところがあります。

それは海外子会社と利益が相反することです。

当然ですが親子間取引の価格を変更すれば、どちらかの利益は増え、どちらかの利益は減ります。

オーナー社長直轄プロジェクトであればまだしも、そうでなければ損する側からの抵抗は必至です。このような抵抗をかわして全社的な合意を得るためには「外圧」を上手く使いましょう。

関連記事:「取引価格変更にまで踏み込むことが重要」

一番「効く」のは実際に追徴課税を払うこと

最も強い外圧は、元も子もない言い方ですが、実際に追徴課税を払うことでしょう。

日本・海外子会社どちらのサイドであっても、「税務当局から〇〇円の追徴課税を受けた」という外圧ほど強いものはありません。

何度も同じ目には合いたくありませんので、グループ挙げての移転価格・寄付金対応が一気に進むはずです。

また私のような外部コンサルタントも外圧となり得ます。「(私ではなく)コンサルが、税務リスクがあると言うんですよ。」という使い方です。

逆に海外子会社の責任者が、「これ以上営業利益率が低くなると税務当局から指摘を受ける可能性が高いと、こっちのコンサルが言ってます。」と言ってくることもあります。なかなかの交渉上手です。

キャッシュアウトかコンプライアンスか

ところで私は、企業が移転価格税制に対応する目的には大きく2つあると考えています。

・追徴課税による資金流出が痛い
・コンプライアンス違反を指摘されたくない


この2つです。

前者の資金流出を警戒する企業がある一方、後者のコンプライアンス違反をより警戒する企業もあります。一般的に上場企業は、未上場企業よりもコンプライアンスに敏感だといえるでしょう。

また最近、監査法人から同時文書化義務を守っていないことはコンプライアンス違反だと指摘される例が出てきています。

これは国内・海外両方で起きています。確かに同時文書化義務を守っていないことは法令違反です。

海外は未上場企業も監査対象になりますし、文書化の金額基準が非常に小さい国もあります。これからは監査法人も移転価格対応を進めるための外圧となり得るでしょう。

経理部門だけでは対応できない

移転価格税制は、グループ間取引を独立企業間価格で行うことを求める法律です。

第一義的には取引価格の問題ですので、経理部門で文書化するだけで完全な対応ができる税制ではありません。関係各部門との調整がどうしても必要になってきます。

経理部門の立場が強い会社と弱い会社があるようですが、弱い立場であっても、「外圧」を上手く使って、したたかに移転価格対応を進めていきましょう。

最後に「ミニワーク」をご提案します。ぜひ社内の皆さんと一緒に考えてみて下さい。

❝ミニワーク❞
「親子間の取引価格を変更する際に最も強く反対する人はどなたでしょうか?その方は誰からの説得であれば、耳を傾けてくれるでしょうか?」

<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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