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アドビ社の裁判例(移転価格訴訟)| 押方移転価格会計事務所

移転価格 判例 裁判 訴訟 アドビ

移転価格調査の対象が大企業から中堅企業にシフトするきっかけになったといわれている「アドビ事件」を取り上げたいと思います。

日本法人であるアドビシステムズ株式会社がソフトウェアの販売サポート業務において、ケイマン諸島及びアイルランドにある国外関連者から受け取っていた役務提供の対価(国内売上の1.5%+必要経費)が独立企業間価格に満たないとして、課税庁から再販売価格基準法に準ずる方法と同等の方法による更正処分を受けたことについて争った事件です。

結論としては、

東京国税局への異議申し立て⇒棄却
国税不服審判所への審査請求⇒棄却
東京地裁での裁判⇒原告敗訴(2007年)
東京高裁への控訴⇒原告勝訴(2008年)

となり、アドビ社に対して多額の還付金と還付加算金が支払われました。

2007年頃まで大企業相手の移転価格調査で多額の追徴を行っていた課税庁もこの敗訴を受け、 大企業相手への調査に慎重にならざるを得なくなり、対策が不十分な中堅企業向けにシフトしたと考えられます。そのことは近年、移転価格調査における1件あたりの追徴税額が減少していることからも裏付けられます。

最大の争点は「比較可能性の有無」

この裁判の最大の争点は比較可能性の有無でした。比較対象企業にはソフトウェアを受注販売方式で再販売している企業が選定されたのですが、比較可能性の有無について、一審と控訴審で判断が分かれました。

再販売価格基準法に準ずる方法と同等の方法を採用するためには機能とリスクの類似性が重要という判断は、地裁も高裁も同じでした。

地裁は、「マーケティングやサポート業務といった機能は類似しており、受注販売であるため在庫リスクを負担しておらず、大企業向けの販売であるため貸倒リスクも少さいとして両者には比較可能性がある」と判断しました。

一方高裁は、「アドビ社は国外関連者との業務委託契約に基づいて卸売業者等に対して販促支援等のサービスを行っており、法的にも実質的にも役務提供取引といえるのに対し、比較対象企業は仕入れたソフトの再販売取引を中核とし、その販売促進のために顧客サポート等を行っているのであるから、両者の果たす機能に看過し難い差異があることは明らか」と判断しました。

リスクについても、「アドビ社が国外関連者から受け取っている対価は赤字にならないように設定されているのに対し、比較対象企業は赤字になるリスクを負っており、これは受注販売方式であっても変わらない」と、両者のリスク負担の仕方にも差異があると判断をしました。その結果、納税者とサンプル企業との間に十分な比較可能性がないとされ、課税処分が取り消されました。

ベストメソッド方式に移行

2013年の税制改正により、基本三法優先であった独立企業間価格算定方法の選択について、優先順位を設けずに最も適切な方法を選択する方式に改められました。(ベストメソッドルール)

現在、多くの企業で採用されている方法は営業利益ベースで比較する取引単位営業利益法ですが、売上総利益ベースで比較する再販売価格基準法等についても一通りの検討をしなければなりません。

再販売価格基準法の方がより適切と判断した場合は同法を採用することになりますが、取引単位営業利益法よりも、機能とリスクの比較可能性の要件が厳しいという点には十分な留意が必要です。

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