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ローカルファイル(移転価格文書)の記載項目 | 押方移転価格会計事務所

移転価格税制 文書化 事実 機能 リスク

移転価格文書化の意義

ローカルファイル(移転価格文書)とは、特定の海外子会社との取引について移転価格税制上の問題がないかどうか(=独立企業間価格で取引しているかどうか)を検証した文書のことです。

税務調査官からローカルファイル(移転価格文書)の提出を求められたものの、決められた期限以内に提出できない場合、海外子会社と業種や規模が類似する他の企業(比較対象企業)の利益率を用いる等の手法によって、一方的に追徴課税を受けるリスクがあります。(推定課税)

この推定課税を避けるための対策としてローカルファイル(移転価格文書)を作成することを移転価格文書化といいます。

今回はこのローカルファイル(移転価格文書)に、具体的にどのような項目を記載するのかをご紹介したいと思います。

ローカルファイル(移転価格文書)の具体的記載項目

ローカルファイル(移転価格文書)の具体的記載項目については租税特別措置法施行規則第22条の10第1項に規定されていますが、原文は読みにくいので下記に要約して記載します。

<施行規則第22条の10第1項1号>
イ海外子会社(国外関連者)との棚卸資産取引及び役務提供取引の内容
ロ親会社及び子会社それぞれが果たしている機能と負っているリスク
ハ国外関連取引に使用した無形資産の内容
二国外関連取引に関係する契約書または契約の内容
ホ国外関連取引の価格の決定方法とその交渉内容
へ国外関連取引にかかる損益計算書
ト国外関連取引が行われた市場の分析
チ各当事者の事業の方針
リ国外関連取引と密接に関連する他の取引の明細

<第22条の10第1項2号>
イ選定した独立企業間価格算定方法、その理由及び算定にあたり作成した書類
ロ比較対象取引の選定資料及びその明細
ハ利益分割法を採用した場合の両社に帰属する金額の算定資料
二複数の国外関連取引を一つの取引として扱った場合における理由及び各取引の内容
ホ差異の調整を行った場合はその理由及びその方法

一号ロの機能リスク分析とハの無形資産に特に注意しながら、簡潔に記載していきましょう。

実務はローカルファイル(移転価格文書)のテンプレートにあてはめて作成していく

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ローカルファイル(移転価格文書)に法定フォーマットはありませんが、実務ではテンプレートにあてはめて作成していくことが多いです。その方が漏れなく効率的に文書化ができるからです。

テンプレートには、次のような項目が用意されています。

<事実分析>
・国外関連者の一覧
・属している産業の動向
・取り扱っている製品
・事業の方針
・重要な契約の内容

<国外関連取引の概要>
・棚卸資産取引や役務提供取引の内容
・使用した無形資産の内容 ・商流図

<機能リスク分析>
・各当事者が果たしている機能
・各当事者が負っているリスク
・国外関連取引に使用した無形資産

<独立企業間価格の算定方法>
・選定した計算方法がベストである理由

<経済分析>
・比較対象取引の選定及び独立企業間価格幅の決定
・結論(国外関連取引に移転価格上の問題が生じているかどうか)

ローカルファイル(移転価格文書)は税務当局へのアピール資料

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ローカルファイル(移転価格文書)は、アナリストが企業分析をするための資料ではありません。税務当局に対し、国外関連者との取引は独立企業間価格で行っていると主張するための書類です。

税務調査においては、通常の法人税調査官から移転価格の専門チームにローカルファイル(移転価格文書)と別表17-4等が渡され、まずは書面上で判断されます。

専門チームはこれらの資料を確認し、移転価格対応が遅れていて追徴税を多く取れそうな企業を優先して調査を行います。

これは逆の言い方をすれば、書面審査段階で移転価格対応がしっかりできていることが伝われば、それ以上の追及が行われない可能性があるということです。

備えあれば憂いなしと言いますが、イザとなってから慌てるのではなく、自主的に移転価格対応を始めておくことが重要だと思います。

次の記事に続く→「事実分析は簡潔に書く。但し常にゴールを意識すること。」

<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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